「赤色エレジー」
あがた森魚

T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
GUESTBOOK/BACKNUMBERS


外は木枯らしがぴゅうぴゅうと吹きすさんでいる・・・・

夕暮れ時。午後6時半。遠くで石やきいもの売り声がかすかに聞こえる。

今日は授業が午後からだったのに、昨日の夜はぼーっとしていていつのまにか朝になっていた

従って寝たのは朝。起きたのは今。

「あれ、暗い・・・・あぁ、やってもうた」

「なーんでこうなるかなぁ・・・・」

「目覚まし止まってるし」

「さむ・・・・・・・・・・・」

ストーブに点火。しばらくの後「ぼぉっ」と寂しい音を立てて温風が室内を駆けめぐる。
煙草に火をつけようとして、探す。残りが2本になったマイルドに火をつける。

「ふぅ・・・・・・・・・・・」

TVを点ける。間山さんがなにやらしゃべっている。「次は、お天気ラボです」の言葉が胸に突き刺さる。

「そろそろこの生活にもピリオドを打たなければ・・・・」

床には、アンケート用紙が散乱している。もう、10日も前に印刷したものだが、研究室には行っていない。テーブルの上に転がっていたツナピコを二個、口の中に放る。

「はい、わかりました・・・・はい、すぐにでも・・・」

電話がなる。うちの電話はあと10日の命らしい。
くたびれたパジャマを脱ぎ捨て、白いディスカスのトレーナーを被り、505のイレギュラーをはく。
炊飯器の「保温」ランプが光っている。だが、開けるのが怖い。

 ・・・・・・・・・

やがてTVは、7時を告げる。ドラえもんに、しばし見入る。
今頃になって朝刊を広げる。テレビ欄を確認したあと、おもむろにビデオのリモコンの電源ボタンを押す。

「うわっと・・・・・・・・」

画面には、眉間にしわを寄せている女の顔がアップで映る。
クリネックスが視界にはいり、自分一人でばつが悪くなる。延滞料金がかさんでいることが、さらにその気持ちに追い打ちをかける。

「お?・・・・・誰だ・・・・・」

呼び鈴がなり、新聞屋が来る。3007円支払おうとして、財布を探す。

「ごくろうさま」

そういって、財布をしまおうとして、しばし呆然とする。
残金117円。急に腹が減ってきた・・・・・。

とまあ、こんなシチュエーションに流れてくると最高の唄です。


ぶんせきは
KENTARO