「異邦人」
T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
〜無国籍ヒット曲〜
久保田早紀 1979
GUESTBOOK/BACKNUMBERS
久保田早紀、この名前にピンと来ない人でも、「異邦人」といえば、「あ〜、あの唄」くらいのリアクションは返ってくるだろう。ま、良くいえば楽曲が唄い手を越えて一人歩きしはじめているのであり、意地悪な見方をすればそれが一発屋さんの特徴であるということもできる。
この唄、筆者はもちろんリアルタイムでは知らないものの、なかなか無国籍な感じがする。イントロだけでも、多数の弦を使った大掛かりな編成で、エスニックともいえるような、だけどちょっとなんか違う旋律が迫力たっぷりに押し寄せてくる。メロディーも、AmからAメジャーへと、何とも異国情緒を醸し出す転調で、ますます「何処の国だかわかんない感」をかきたててくれる。タイとか、インド、トルコなどに、「自分探しの旅」に出かける際の飛行機搭乗中のBGMなんかに使うと、ますます気分が盛り上がって愉しいかと思う。
さらに、この久保田早紀の声がいい。こんな唄を、尾崎紀世彦や葛城ユキ等のぶっとい声で唄われたのでは、せっかくの無国籍情緒が台無しである。もっとも、強迫観念は盛り上がっていいのかもしれないが、なにより「自分探しの旅」なのである。登山家が、「そこに山があるから登る」のと同じなのである。そういったばあい、「ほのかな」タヨリナサ、そういったものが必要不可欠になってくるのである。その点、この久保田早紀の歌唱は、声細く、かすれ気味、ビブラート無しと三拍子そろっていてよろしい。
これから卒業旅行のシーズンである。近年は旅行の行き先も多様化しまくっており、なんか訳のわかんないところに行ってやろう、と画策している方も多いかと思う。そんなとき、この「異邦人」をお忘れなく。愉しみ倍増。
ぶんせきは
KENTARO