「股旅」
〜「メリハリ」の妙〜
奥田民生 1998

T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
GUESTBOOK/BACKNUMBERS


満を持してのオリジナルアルバム。何も言うことはない。とにかく聴くべし。今年のナンバーワンアルバムは(もちろん僕のなかでね)もう決定。すばらしくおじさんな、ダラダラな、それでいて岩のように硬い、でもふにゃふにゃしたアルバム。でも、こういうグルーヴこそロックですなぁ。

大体、元気のあるロックなんてものはロックじゃない、などと渋谷陽一の受け売りで思いこんでるもんだから、日本のたいがいのロックバンドは胡散臭くみえちゃうのよね。元気、だの、愛、だの、勇気、だの拳振り上げてぴょんぴょん跳ねてやってるのは違うね。こういうダラ〜ンと疲れた感じがROCKの本質じゃあないかねぇ。

「29」「30」そして「fail box」と、ソロになって(アルバムとしては)駄作がないと思うのだが、ここのところあまりタミオ先生好調ではないようで、心配していたのだが、今回のアルバムは「さすらい」以外はハズレなし。今回も前回のアルバム以上のパフォーマンスで楽しませてくれる。

おそらくだが、今回のアルバムにテーマめいたものがあるとすれば、「旅」であるだろう。彼がツアーのなかであたかも書きつづったような曲がずらっと並ぶ。とくにM1「あくまでドライブ」M2「ツアーメン」M3「またたびをする」の3曲はそんな感じ。M1のギターは、なかなかに、すごい。うーん、これを聴いてスライドギターやってみたくなってボトルネック買ってしまったのは、僕です。

派手ハデ(彼としては、ね)のM4「恋のかけら」に続いてM5「リーリーリー」これは最高でしょう。何が最高かは、買ってみて下さい。これは文字で説明するのは野暮です。買って、歌詞カードを見ずに一回、歌詞カードを見て一回聴いてみて下さい。最高です。そのあとのM6「股旅(ジョンと)」は「ローハイド」のまね真似。なかなか凝ってますが、こんな曲がカーステで流れていたら、乗ってきた人はぎょっとするでしょうねぇ。

タイトルは重いが曲調はカルいM7「遺言」、「FAIL BOX」の「陽」にも通じるM8「海猫」、演歌っぽくって僕にはいまいちだけど、なぜ過去のアルバムにはハマっている気がするM9「さすらい」、M10「手紙」の世界はユニコーン時代からあって僕は好き。そして、テーマが「旅」なら最後はこれ、ということか、M11「イージュー・ライダー’97」、スローなバージョンもいいですなぁ。

ギター弾きならギター持ちたくなること必須。とにかくいいんで疲れたロック好きな人は必聴。まあまあ売れてるけど、俗物にない良さがあります。


ぶんせきは
KENTARO