「AKIKO WADA DINAMITE SOUL」
〜「旬」のアルバム〜
和田アキ子

T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
GUESTBOOK/BACKNUMBERS


このCDを手にしたのはひょんなことからだった。僕の家の近所には、僕がひいきにしているレンタルCDショップがあるのだが、大学の同じ学部の同じ学年の男の子が、そこでずっとアルバイトをしていた。そのレンタル屋さんには、他にはなかなかない珍しい制度があって、そこでバイトしている人に、彼ら独自のおすすめを選ばせて、レビューまで書かせて棚に飾っている。この和田アキ子のアルバムは、そういう棚で、その「彼」がレビューを書いているのを発見して、思わず手に取ってしまったのだ。そこには、「ニッポンのゴッド・オブ・R&B。必聴!サイケデリック・ロック版のリリースもぜひ期待したい。」とか何とか書かれていた。

なにせ聴く前から、このCDのジャケットにやられてしまった。写真は若き日の和田アキ子なのだが、モノトーンで、コントラストのきつい写真で、黒のスーツをビシッと着こなした和田アキ子がポーズを取っている。そして、CHIKAGOみたいな文字で「AKIKO WADA DINAMITE SOUL」。うーむ、LPで欲しくなってしまうジャケットである。このCDとの最初の出会いがそのレンタル屋でなかったならば、例えばHMVとかWAVEとかでまかり間違って出会ってしまったならば、きっと「ジャケ買い」してしまっていたことと思う。

さてさて、内容の紹介に移ろう。基本的には、今まで和田アキ子がリリースした曲の中から、ソウル色の強いものをピックアップしたという形になってはいるものの、ライブ版からのカットということで、「黒い炎」や「パパのニューバッグ」など、JB(ジェームス・ブラウン)などのカヴァーも収録されている。すべての曲に対して、デジタルリマスタリングが行われており、音質が良くなっている(らしい)。サウンドは、古き良きといいますか、ソウルっぽい、しかも非常にイカサマ臭いニッポンバンドの味がでていて非常によろしい。ギターのアドリブの入り方なんかは、なかなか今の流行歌を聴いているだけでは一生お目にかかれないファンキー且つブルージーなものである。エフェクトだってろくにかかっていない。「どしゃ降りの雨の中」「古い日記(あの頃はぁ〜ってヤツですね)」など、往年のヒットも満載。全体的に、ひどく猥褻な、熱いエネルギー(しかも健全じゃないもの)が流れていて、これから悪さをしようなんて考えている夏の夜にはぴったりだと思う。
真夏のドライブなんて時に、出がけは山下達郎やチューブ、洋楽好きな方ならビーチ・ボーイズやバハ・メン(「ココモ」までカヴァーするとは・・・。オリジナル唄うのきらいなんですかねこの人達は。)、ビッグマウンテンなどで陽気に発進し、逗子や葉山の方ならそのままの路線で、九十九里や三浦海岸、あるいは新島(ドライブじゃねえだろ)に行ってしまうならSPEEDやELT、もしくは(僕はこれがこうした類の海にはいちばん似合うと思っているのだが)松田聖子、ラッツアンドスターなど往年の80'Sポップに路線変更し、夕闇が迫る頃にEW&F、JB、SBT、そして最後にこのAKIKO WADA DINAMITE SOULで締めるという、爽やかさと下世話な下ゴゴロを一色単にしたこのラインナップを男一人で楽しむというのも、長い夏休み、悪くないと思う。
しかし、お世辞ではなく、和田アキ子の歌唱力はニッポンのポップスシンガーの中で、ナンバーワンの実力者だと思う。特に彼女はこうしたソウルに対する造詣が深く、レイ・チャールズの来日公演に出演したりしていることは知っていたが、こうしたソウルフルな歌唱こそ、彼女の真骨頂ではないか。今の、歌謡曲的な路線から少し離れて、本気でこういう新作を制作して欲しいとさえ願ってしまうほどである。

〜追記〜
小島麻由美なんかを好きな人は、結構抵抗なく入れるかもしれない、こういう世界は。


ぶんせきは
KENTARO