「ラストチャンス」/「Automatic」

T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
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「ラストチャンス」/Something Else

大ブレイクの「サムエル」です。アコースティックなサウンドが印象的なシングル。まぁ、この大ブレイクは、この曲の曲調だけ考えると「ゆず」あたりがその伏線になっているんでしょうね。単純な循環コード、唄いやすいメロディーと共通項は多いけれど、あの2人よりはずいぶん「センスの良さ」を感じます。70年代のアコースティックな味を程良く乗せて、それでいて爽やかに仕上げる、ギターを片手に聴いていると、多少腕に覚えのある人なら2回くらい聴いただけでコピーできてしまうでしょうが、イントロで入ってくるエレクトリックギターのワウがかった音が、アクセントになっていて、「単純なだけじゃない」ところをアピールしています。

ちょっと腑に落ちないのは、リズムの音。他の楽器の音とは不釣りあいなほど機械的な音がしてます。イントロの、クイーンの唄みたいな音はいいとしても、全編を流れるリズムの音、これは少し打ち込み色が強すぎで、全体的に見て少しちぐはぐな気がします。だからM2のアコースティックバージョンの方が好きです。ちょっとベースがおぼつかないですが、アコースティックな味がより強く出ていていいです。

良くも悪くも、70年代っぽい味を現代のワカモノが解釈した一つの形でしょう。こうしたテイストを積極的に取り入れている人は斉藤和義やスガシカオなど、ブレイク予備群にはたくさんいましたが、そういう人々のマニアックさを捨て去って、みんなで歌いやすい曲に徹したからこそのヒットではないでしょうか。逆に言えば、カラオケ映えしない曲は売れない、という不文律を改めて実証した形です。このシングルしか聴いてみてないので彼らのことはイマイチよくわからないのですが、こうしたアコースティックギターの音を全面に出したバンドっていうのも、これから主流になってくる、そういう予兆を感じるヒットだと思います。

「Automatic」/宇多田ヒカル

何が新しいんでしょうか。誰かわかる人がいたら教えていただきたい。僕から見れば、何だか「NY」と「15才」っていうキーワードだけで売れてしまったとしか思えないのですが。完全な「エセソウル」でしょう。歌唱力だって、他とずば抜けていいとは思えないし、ヴォーカルだけで言えばUAやMisiaのほうがよっぽどインパクトがある。歌詞は最初から「読んでくれるな」って感じだし、メロディーがキャッチーなだけじゃないですか。たしかにアタマの中でグルグル回るけれど。それを意図的にやれているかは結構疑問。どっかから持ってきたようなメロディーだし。

とまぁ、こういう具合に疑問が出てくるような売れ方をするアーティストが出てくると、「クロ系の唄」みたいな路線も、カウンターからメインストリームになったっていうことを実感してしまいますね。実力派実力派ってそのうちだれがほんとに実力派なのか、わかんなくなっちゃうぞ。


ぶんせきは
KENTARO