「い・け・な・いルージュマジック」 T0P/ MUSIC ESSAY/KINKYO
〜「オカマ」という言葉〜
忌野清志郎+坂本龍一 1982
GUESTBOOK/BACKNUMBERS
「オカマ」という言葉は、この曲が発売された頃にはもう一般的な認知を得ていたのだと思う。この曲が売れ出した頃、筆者は7才前後だったが、コドモの間でも何かというと「オカマ〜」という軽蔑語が使われた。それはだいたい、”女子”と話をしていた男の子にむけられたり、なにか女っぽい行動(一人だけ妙にこぎれいな奴とか、男のものとも女のものとも取れる持ち物を発見されたりとか)に対してすかさず向けられたりしていた。しかし実の所、みんな「オカマ」など見たことはなかったのだ。
筆者7才のおり、この曲がベストテンにランクするや、「これだっっ、これがオカマだっ」とひざを打ち、大いに納得したのである。ご存知ない方のために説明しておくが、これは1982年春の某化粧品メーカーのCMソングとしてリリースされたもので、清志郎と教授がとんでもない厚塗りメイクで登場し、一大センセーションを巻き起こした唄なのである。プロモVのなかでは、札ビラの嵐の中、清志郎と教授は手錠でつながったままキスをするなどして頑張っている。オリコンで最高位1位、売り上げ40万枚以上を残した大ヒットである。とにかく教授の目は色っぽい。清志郎は厚塗りメイクの顔でおなじみのアナーキーな歌唱を続ける。テクノで一躍時の人となった教授とのタッグはおそらく話題性十分であったのだろう。しかし、7才のガキの目からはこの唄、この二人の姿はそれ以上に「オカマ」に対する回答としてはもっとも有効であったのだ。
この年はオカマが流行ったのか、秋の化粧品CMには一風堂の「すみれSeptember
Love」(SHAZNAのカヴァーでリバイバル・ヒットした)も登場する。こちらは片方がひげを生やしたオカマということもあって、ますます「オカマ=気持ち悪い」の固定観念は深まってゆく。しかし、この翌年のカルチャー・クラブの大ブレイクなどもあってか、オトコのアーティストが化粧をしたりするのがニューミュージック系でこの後急速にメジャーになってゆく(沢田研二がそれ以前に化粧をしていたりしていたが、あれはジュリー独自の演出であるし、村八分といったバンドもあったがそれはまだメジャーといえるほどではなかった)。「オカマ」もその流れの中でエイズというセンセーションまで装備し、「ゲイ」という新しい言葉で認知されるようになった。「オカマ」が実体としてとらえられる決定打として、このユニットが筆者の目には映ったのである。
ぶんせきは
KENTARO